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勤務時間
[定義]
就業規則・社内規定等で定める労働時間のこと。
*1 日実働 8 時間の場合は、1 週
間に必ず 2 日休みがある「完全週
休 2 日制」でないと週の労働時間
が 40 時間に収まらず労働基準法
違反の可能性がある。
[1]勤務時間の表記原則
・各企業の就業規則に即して表記し、労働基準法を逸脱しないようにする。
・休憩時間を除き、1 日 8 時間、1 週間につき 40 時間を超えて労働させてはならない。
※ 上記、法定労働時間を超える場合は労働基準法違反となる*。
(1)勤務時間帯を明記する
・「勤務時間」欄には、「9:00~17:00」のように勤務時間帯を明記する。
・勤務時間帯を記載できない場合は、1 日の実働時間を記載する。
・できれば勤務時間帯と実働時間を併記するのが望ましい。
・労働時間は実際に作業をしている時間だけではなく、材料待ち、客待ちなどの
“手待ち時間”も含まれる。朝礼なども参加必須ならば労働時間になる。
※ 「1 日」とは、午前 0 時から午後 12 時のいわゆる暦日のこと。
なお、1 勤務が日付をまたぐ場合は始業時刻の属する日、
つまり 1 日目の労働時間として計算する。
(2)休憩時間について
使用者は労働時間が 6 時間を超える場合においては少なくとも 45 分、8 時間を超える場合に
おいては少なくとも 1 時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
○9:00~18:00
(実働 8 時間、休憩 60 分)
×9:00~20:00(実働 10 時間)
⇒実働時間が法定の「1 日
8 時間」を超えているため。
×9:00~18:00
(実働 8 時間)週 6 日勤務
⇒実働時間が法定の
「週 40 時間」を超えて
いるため。
×10:00~19:00
(休憩 1 時間含む/標準労働
8 時間)
⇒「標準労働時間」は
フレックスタイム制の際に
使用する記載のため。
×例:9:00~17:00
⇒例だけの曖昧な記載は
できない。
×夜勤:18:00~翌 8:00
※実働 6 時間×2 日分の
勤務です
⇒日をまたぐ勤務の場合、実働時
間を「2 日分」に換算すること
はできない。1 勤務で実働
8 時間に収まっていないもの
は NG となる。
○10:00~19:00
(実働 8 時間・休憩 60 分)
△10:00~16:30
(実働 6 時間・休憩 30 分)
△10:00~18:45(休憩 45 分)
⇒法律には違反していないが、
実働 6 時間の場合は 45 分
休憩、実働 8 時間の場合は
1 時間の休憩が望ましいと
されている。
×10:00~17:30
(実働 7 時間、休憩 30 分)
⇒法定の休憩時間に満たない
ため。
×9:00~18:30
(実働 8 時間、休憩 1 時間)
⇒実働と休憩の時間の合計
と、時間幅が不一致のため。
(3)複数の勤務時間帯がある場合の表記について(シフト制・交替制・選択制)
・勤務時間帯が複数ある場合は原則、すべての時間帯と勤務形態(シフト制、交替制、選択制
等)を記載する。
・すべての時間帯の記載が困難な場合は、勤務形態と実働時間のみの記載でも可とする。
・外枠の時間帯を併記することが望ましい。
(4)時間外労働(残業・早出)について
・時間外労働を含めての表記はできない。
・補足説明として「早出」や「残業」の有無について記載することは可能だが、早出・残業を
義務づけているように捉えられる表記はできない。
・断定的に「残業 1 日○時間」と記載することは、時間外労働を強制していると捉えられる為
不可。
ただし、「1 日 1 時間~2 時間程度の残業あり」であれば可(断定していないため)。
記載可能時間数は月換算 45 時間まで。月換算 45 時間超の記載があれば差戻し対象となる。
(5)特殊な勤務形態の表記について
フレックスタイム制、みなし労働時間制(裁量労働制、事業場外労働のみなし労働時間制)、
変形労働時間制が適用される場合は、以下の規定に従って記載する。
<シフト制の場合>
○シフト制(9:00~22:00
の間で実働 8 時間)
×8:00~22:00 のうち、
実働 4 時間以上(シフト制)
⇒実働時間が 1 日 8 時間
以内に収まっているかが
分からないため。
×9:00~22:00(シフト制)
⇒実働時間が分からないため。
×9:00~19:00(シフト制※実働
約 8 時間)
⇒実働時間は「約●時間」
といった曖昧な記載が
できない。
<交替制の場合>
○8:00~17:00、
17:00~翌 2:00
(実働 8 時間、交替制)
○8:00~22:00 2 交替制(実働
8 時間)
<パート・アルバイトなど
の募集で 1 日の実働時間
が日によって異なる場合>
○10:30~19:30(シフト制 実
働 2~8 時間※希望考慮)
○10:30~19:30(シフト制
実働 8 時間以内)
○9:00~17:00(多少の
残業をお願いすることが
あります)
○9:00~17:00(残業は
月 10 時間位です)
○1 日平均 1 時間残業あり
○1 日あたり 1~2 時間程度
の残業が発生する可能性
があります
○業務の都合上、8:00 に
出社していただく場合が
あります。
○残業は月 30 時間以内に
おさまるように調整していま
す。
⇒あくまで現状表記や
可能性の範囲として許容。
○8:30~17:00
※早出(7:30~)、
残業(~18:00)あり
×1 日 2 時間残業あり
⇒恒常的に残業が発生して
いるように捉えられる
記載はできない。
×8:30~17:00
毎日 18:00 までは残業が
あります
[2]フレックスタイム制
・フレックスタイム制とは、3 ヵ月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範
囲内で、各日の始業及び終業の時刻を自主的に決定して働く制度。
・自由出退勤が前提となるため、「実働時間」「所定労働時間」や勤務時間帯を指定する表記
はできない。
※ 補足説明として「標準勤務時間帯」を記載することは可能。
以下の情報を明記する。
◎ フレックスタイム制であること。
◎ 1 日の標準労働時間または、清算期間とその労働時間数。
◎ コアタイムが設定されている場合はその時間帯(表記必須)。
※「コアタイムの幅」と 「1 日の標準労働時間数と休憩時間数の合計」が一致するものは、労
働者に出退勤の決定を委ねていることにならないため記載できない。
■フレックスタイム制と時差出勤制の違いは?
労働者に出退勤の自由を付与しているのがフレックスタイム制。1 日の労働時間数も一定の範囲
内で労働者に委ねる必要があるため、「実働」表記はできない。
一方、あらかじめ定めた複数のパターンから勤務時間帯を選択させるのが時差出勤制。「勤務
時間選択制」のひとつで、1 日の実働時間が決まっている点がフレックスタイム制と大きく異な
る。
○フレックスタイム制
標準労働時間 1 日 7 時間 コ
アタイム 11:00~16:00
○フレックスタイム制
月間総労働時間 170 時間 コ
アタイム 11:00~16:00
×フレックスタイム制
標準労働時間 9:00~17:00
コアタイム 11:00~16:00
⇒標準労働時間は時間幅
ではなく時間数を記載する。
×フレックスタイム制
10:00~19:00
(実働時間 7 時間)
※コアタイム 11:00~15:00
⇒自由出退勤が前提のため、
「実働」表記や勤務時間帯の
指定はできない。
○フレックスタイム制
コアタイム 10:00~18:00
標準労働時間 8 時間
/休憩:1 時間
×フレックスタイム制
コアタイム 10:00~ 19:00
標準労働時間 8 時間
/休憩:1 時間
⇒コアタイムの幅と
「1 日の標準労働時間+
休憩時間」が一致するものは、
労働者に出退勤の決定を
委ねていることにならない
ため。
<指定時間内でのフレック
スタイム制の表示>
○8:00~22:00 の間で
フレックスタイム制
(標準労働時間 1 日 8 時間)
[3]みなし労働時間制

(1)裁量労働制のみなし労働時間制
・裁量労働制とは、業務遂行の方法を労働者の裁量に委ね、具体的に労働時間を算定せず、一
定の時間労働したものとみなすという勤務形態。
・実働表記や勤務時間帯の指定、残業に関する記載はできない。
・対象となる業務は、その業務の遂行を大幅に労働者に委ねる必要があると判断されるもの
で、「専門業務型裁量労働制」(労働基準法第 38 条の 3)と「企画業務型裁量労働制」(労働
基準法第 38 条の 4)の 2 種類がある。
※ 裁量労働制のみなし労働時間制が認められるには、労使協定を結び、「裁量労働に関する協
定届」を労働基準監督署へ提出する必要がある。ケースによっては掲載企業に確認を行う。
以下の情報を明記する。
◎ 「裁量労働制」の表記と、協定で定められた「1 日あたりのみなし労働時間」。
◎ 裁量労働制が適用される業務は下記のとおり定められているため、職種名・仕事内容などに
おいて対象業務であることがわかるように記載すること。
◎専門業務型・企画業務型いずれかを記載すること。
【注意】裁量労働制の求人を行うには労働基準監督署に届け出が必要
裁量労働制の求人を行うには労使協定・労使決議で適切に導入を決め、労働基準監督署に届ける
必要がある。法令で定められた業務で、かつ協定や決議で定めた業務にしか適用することはでき
ない。専門業務型裁量労働制の場合は労使協定、企画業務型裁量労働制の場合は労使委員会の決
議を労働基準監督署に届け出る。
求人の際は、協定決議の内容通りに原稿作成し、裁量労働制であることを明示すること。届け
出た内容以外の求人はできない。
① 専門業務型裁量労働制
● 新製品、新技術の研究開発等の業務
● 情報処理システムの分析又は設計の業務
● 記事の取材又は編集の業務
● デザイナーの業務
● プロデューサー又はディレクターの業務
● 上記のほか、厚生労働大臣が指定する以下の業務
・ コピーライターの業務
・ 公認会計士、弁護士、建築士(一・二級建築士、木造建築士)、不動産鑑定士、
弁理士、税理士、中小企業診断士の業務
・ システムコンサルタントの業務
・ インテリアコーディネーターの業務
・ ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
・ 人文科学・自然科学に関する研究
・ 証券アナリストの業務
・ 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
② 企画業務型裁量労働制
● 経営企画担当部署で経営状態・経営環境の調査や分析を行い、経営に関する計画を策定する
業務、および社内組織の問題点や在り方などについて調査や分析を行い、社内組織を編成する
業務。
● 人事・労務担当部署で人事制度の問題点や在り方などについて調査や分析を行い、新たな人
事制度を策定する業務、または業務の内容やその遂行に必要とされる能力等を調査・分析し、
社員の教育、研修計画を策定する業務。
● 財務・経理担当部署で財務状況等の調査・分析を行い、財務に関する計画を策定する業務。
● 広報部門において効果的な広報手段等の調査や分析を行い、広報を企画・立案する業務。
● 営業企画担当部署で営業成績や営業活動上の問題等の調査・分析を行い、企業全体の営業方
針や商品ごとの全社的な営業に関する計画を策定する業務。
● 生産企画担当部署で生産効率や原材料等にかかる市場動向の調査と分析を行い、原材料等の
調達計画も含めて全社的な生産計画を策定する業務。
〇専門業務型裁量労働制(1日
8時間)
〇企画業務型裁量労働制(1日
8時間)
×裁量労働制(1 日8時間)
×裁量労働制(1 日 8 時間)
※参考/9:00~18:00
⇒専門業務型か企画業務型かを
記載必須。
×企画業務型裁量労働制
※9:00~18:00
⇒使用者が勤務時間帯を
指定することはできない。
×専門業務型裁量労働制
(実働 8 時間)
⇒裁量労働制では「実働」
表記はできない。
(2)事業場外労働のみなし労働時間制
・事業場外労働とは、労働者が労働時間の全部あるいは一部について事業場外で仕事をした場
合、その労働時間を算出しがたいときに、「所定労働時間の労働をしたものとみなす」勤務形
態。実働表記や勤務時間帯の指定、残業に関する記載はできない。
・事業場外で業務に従事していても、労働時間の測定が可能な場合(使用者の具体的な指揮監
督が及んでいる場合 など)は適用されない。
<適用外の例>
● 無線や携帯電話などで、随時上司と連絡を取り指示を受けている。
● 社外研修など開始、終了時刻および研修時間が定められている。
● 複数人のグループで仕事をしており、労働時間の管理者がメンバー内にいる。
● 事業場外で訪問先、帰社時刻など当日の業務の具体的な指示を受け、業務遂行後に事業場へ
戻る場合。
※ 事業場外労働のみなし労働時間制が認められるには、法定の内容を記載した協定書面を所轄
の労働基準監督署に届け出る必要がある。ケースによっては掲載企業に確認を行う。
以下の情報を明記する。
◎「事業場外のみなし労働時間制」の表記と、協定で定められた「1 日あたりのみなし労働時
間」。
×1 日 9 時間(みなし労働制)
⇒「事業場外」であることを
明記必須
○事業場外労働のみなし労働
時間制(1 日 9 時間)
○事業場外労働のみなし労働
時間制(1 日 8 時間)
※参考/9:00~18:00
⇒勤務時間が決められている
と捉えられる記載はできない
が、参考や目安の時間帯は
併記可能。
[4]変形労働時間制
・変形労働時間制とは、一定期間の週平均の所定労働時間が法定労働時間(40 時間※)を超え
ない範囲で、特定の日・特定の週の所定労働時間について、法定労働時間を超えて定めること
ができる勤務形態。
※ 特例措置対象事業場は 44 時間(ただし、1 週間単位の変形労働時間制の場合は認められな
い)。
・単位期間には「1 週間単位」「1 ヵ月単位」「1 年単位」がある。
※ 「1 週間単位」は従業員数が 30 人未満の小売業・旅館・料理店・飲食店でのみ可能。
※ 「1 年単位」の場合、1 日・1 週の上限労働時間が 3 ヵ月を期限に変動する。
以下の情報を明記する。
◎ 「変形労働時間制」の表記と、単位期間(「1 週間単位」「1 ヵ月単位」「1 年単位」)。
◎ 労働時間が法定の「週平均 40 時間以内」に収まっていること。
※ 特例措置対象事業場の場合は、勤務時間欄にその旨を記載する。

■参考:特例措置対象事業場とは
下記の業種で、常時使用する労働者(パート・アルバイトを含む)の人数が 10 名未満の事業場に
関しては、法定労働時間が週 44 時間となっている。
◆ 商業/卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、駐車場業、不動産管理業、出版業(印刷部門を
除く)、その他の商業
◆ 映画・演劇業/映画の映写、演劇、その他興業の事業(映画製作・ビデオ製作の事業を除く)
◆ 保健衛生業/病院、診療所、保育園、老人ホーム等の社会福祉施設、浴場業(個室付き浴場
業を除く)、その他の保健衛生業
◆ 接客娯楽業/旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業
○1 ヵ月単位の変形労働時間制
9:00~20:00 で変動
※週平均 40 時間以内
○1 年単位の変形労働時間制
(週平均 40 時間以内)
×1 年単位の変形労働時間制
年間総労働時間 2030 時間
⇒「週平均 40 時間以内」に
収まっていることが
分からないため
×1 週間単位の変形労働時間制
(週 40 時間以内)
17:00~翌 8:00
※実働 12 時間
⇒1 週間単位の変形労働
時間制の場合、1 日 10 時間
が上限のため。