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8.対象となる方(年齢制限)
[1]年齢制限について
・労働者の募集及び採用の際は、原則として年齢を不問としなければならない(労働施策総合
推進法)。
ただし、下記(1)~(6)のような合理的な理由がある場合には、例外的に年齢制限(65 歳未
満のものに限る)が認められる(労働施策総合推進法施行規則第 1 条の 3 第 1~3 項)。
・例外的に年齢制限を設ける場合においては、理由の提示義務がある。
・「○歳くらい」や「×歳程度」など曖昧な条件は設定できない。
(1)例外事由<1 号>
定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として
募集・採用する場合。
…… 期間の定めのない労働契約については、定年年齢を上限として年齢制限をすることが認め
られる。 ※60 歳を下回る定年年齢を設けることはできない。

(2)例外事由<2 号>
労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合。
…… 労働基準法等の法令において、特定の年齢層の就業が禁止・制限されている業務について
は、年齢制限をすることが認められる。

(3)例外事由<3 号のイ>
長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象と
して募集・採用する場合。
…… 長期勤続によるキャリア形成の観点から、新規学卒者等をはじめとした若年者等を期間の
定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合には、上限年齢を定めることが認められ
る。
ただし、下記の要件を満たす必要がある。
①対象者の職業経験について不問とすること
②新規学卒者以外の者にあっては、新規学卒者と同等の処遇であること
※「同等の処遇」とは、新卒者と同様の訓練・育成体制、配置・処遇をもって育成しようとし
ている場合を指すものであり、賃金等が新卒者と完全に一致しなければならない趣旨ではな
い。
※「若年者等」とは、基本的には 35 歳未満を想定したものである。経験不問かつ新規学卒者と
同等の条件であれば、必ずしも 35 歳未満に限られるものではないが、45 歳未満までが目安と
なっている。

※免許・資格に関しては、実務経験なしで取得できるもののみ応募条件にできる。
◆ 実務経験なしでは受検(受験)できない資格 ◆
1~2 級建築施工管理技術士、1~2 級電気工事施工管理技術士、1~2 級管工事施工管理技術
士、1~2 級造園施工管理技術士、1~2 級土木施工管理技術士、建設機械施工技士 1~2 級、技
術士、特級~一級ボイラー技士、介護支援専門員(ケアマネージャー)、FP 技能士 1 級、管理
理容師、管理美容師、など
◆ 経験なしでも受検(受験)できるが、登録・認定・免許取得に実務経験を要する資格 ◆
第一種電気工事士、公認会計士、税理士 など
◆ 実務経験なしでも取得できる可能性がある資格 ◆
宅地建物取引士、二級建築士、測量士・測量士補、1~3 級自動車整備士、フォークリフト運転
者、第一種~第三種電気主任技術者、第二種電気工事士、二級ボイラー技士、日商簿記検定 1~
3 級、看護師、准看護師、薬剤師、登録販売者、社会福祉士、介護職員初任者研修、保育士、栄
養士、管理栄養士、基本情報処理技術者、一級建築士など
(4)例外事由<3 号のロ>
技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢
層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合。
…… 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種(※1)の特定の年齢層(※2)において労
働者数が相当程度少ない(※3)場合には、この特定の年齢層に限定して募集・採用することが
認められる(ただし、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合に限る)。
※1「特定の職種」については、技能・ノウハウの継承が必要となる具体的な職種の名称を用い
ること。
※2「特定の年齢層」は、30 歳~49 歳のうちの特定の 5~10 歳幅の年齢層とする。
※3「相当程度少ない」は、同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して、労働者数が 1/2 以下であ
る場合(下図参照)に該当する。
「相当程度少ない」かどうかを判断するに当たっては、企業単位で判断することが原則となる
が、人事管理制度上、一部の事業所で採用などの雇用管理を行っている場合には、一部の事業
所を単位として判断とすることも認められる。

(5)例外事由<3 号のハ>
芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合。
…… 芸術作品のモデルや、演劇等の役者の募集・採用において、表現の真実性等のために、特
定の年齢層の労働者に限定して募集・採用することが認められる。
(6)例外事由<3 号のニ>
60 歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場
合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合。
…… 60 歳以上の高年齢者に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認めら
れる。
また、特定の年齢層の雇用を促進する国の施策(雇入れ助成金等)を活用するため、その施策
の対象となる特定の年齢層に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認めら
れている。
○60 歳未満の方を募集
(定年が 60 歳のため)
×60 歳未満の方を募集
(契約期間 6 ヵ月)
⇒有期労働契約であるため。
×60 歳未満の方を募集
(定年が 63 歳)
⇒上限年齢と定年年齢が
一致していないため。
×40 歳以上 60 歳未満の方
を募集(定年が 60 歳)
⇒下限年齢を記載しているため。
×△△業務の習熟に 2 年間
必要なため、58 歳以下の
方を募集(定年が 60 歳)
⇒上限年齢と定年年齢が
一致していないため不可。業
務習熟に 2 年間必要である旨
は、別途記載すること。
○18 歳以上の方を募集
(労働基準法第 62 条の
危険有害業務のため)
○18 歳以上の方を募集
(警備業法第 14 条の
警備業務のため)
×25 歳以上の方(労働基準
法第 62 条の危険有害
業務のため)
⇒18 歳(以上)であれば
危険有害業務への従事は
可能なため。
×勤務時間:10:00~翌 2:00、応
募条件:18 歳以上
⇒時間帯の幅が広く(実働
8 時間+休憩 1 時間を
超える幅)、必ずしも深夜帯勤
務とは限らないため。
○35 歳未満の方を募集
(経験不問)
○40 歳未満の方を募集
(簿記 2 級以上)
○ビジネスマナーを心得て
いる方
⇒実務経験を必要としない
スキルについては記載可。
×20 歳以上 35 歳未満の方
を募集
⇒下限の年齢を指定して
いるため(上限のみ記載
可能)。
×35 歳未満の方を募集
(契約期間 6 ヵ月)
⇒雇用形態が「正社員」
ではなく有期労働契約
であるため。
×40 歳未満の方を募集
(□□業務の経験のある
方が対象)
⇒募集条件として職務経験
を指定しているため。
×30 歳未満の方(営業経験
3 年以上の方歓迎)
⇒必須条件に限らず、職務
経験を条件とすることは
できない。
×ブランクのある方も歓迎
⇒就業経験者を意味する
ため不可。
×フリーランスの方歓迎
×異業種出身者歓迎
×1 級施工管理技士
⇒実務経験がないと取得
できない資格を応募条件
にすることはできない。
○A社の電気通信技術者
として 30~39 歳の方を募集
×A社の電気通信技術者
として 25~34 歳の方を募集
⇒「30 歳から 49 歳」の
範囲に収まっていないため。
×A社の電気通信技術者
として 35~49 歳の方を募集
⇒年齢幅が「5~10 歳」を超えて
いるため。
×A社の電気通信技術者
として 30~39 歳の方を募集
⇒A社の電気通信技術者は、
20~29 歳が 30 人、30~39
歳が 15 人、40~49 歳が 25
人であり、同じ年齢幅の上下
の年齢層と比較して 1/2 以下
となっていないため不可。
×イベントコンパニオン
として、25 歳以下の方を
募集
⇒単に特定の年齢層を対象
とした商品やサービスの
提供等が目的であり、
芸術・芸能の分野に
該当しないため。
○60 歳以上の方を募集
○(特定求職者雇用開発
助成金[特定就職困難者
雇用開発助成金]の対象
として)60 歳以上 65 歳
未満の方を募集
×60 歳以上 70 歳未満の方を募
集
⇒60 歳以上の高年齢者を
募集・採用する際に上限
年齢を付している場合は
不可。
×(特定求職者雇用開発
助成金「特定就職困難者
雇用開発助成金」の対象
として)
55 歳以上 65 歳未満の方
を募集
⇒募集・採用する年齢層が
国の施策の対象となる
特定の年齢層と異なる
場合は不可。
[2]受動喫煙防止法関連の年齢制限
喫煙可能な場所での就業が予定される場合は、年齢制限が可能。年齢制限理由の記載が必須と
なる。
理由表記:20 歳以上(喫煙スペースでの業務が必須なため)
※年齢制限および年齢制限理由は[対象となる方]に必ず記載すること
※「〇〇の業務が含まれるため」等、その業務を避けることが可能な旨の表現は年齢制限理由
としてみなされない
■年齢制限が可能となる仕事例
・全面喫煙の飲食店のホール
・全室喫煙可の清掃(※1)
・喫煙所の清掃
・喫煙可のたばこ店
・飲食店で行うたばこのサンプリング
(※1)喫煙している人がいる・いないに関わらず、「喫煙可能場所」への 20 歳未満の立入りは
不可となる。したがって、清掃業者でも「喫煙可能場所」の清掃がある場合は、20 歳以上の年
齢制限が必要になり、ホテルのベッドメイクや特別養護老人ホームのスタッフなども、喫煙可
能な部屋で就業する場合は年齢制限が必要。
※明らかに喫煙スペースでの業務があるにも関わらず、年齢制限がない場合や、受動喫煙防止
の趣旨に添わない年齢制限が書かれている場合は記載不可。
■年齢制限が不可となる仕事例
・喫煙スペースを回避して仕事をすることが可能
例:分煙のホール
・総合職(キッチン・ホール)
⇒喫煙スペースを回避して仕事をすることが可能なこともあり、配属により必ずしも喫煙者に
接しないため